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自然な出産を望む者が多いことが明らかになった。
施設別でみると診療所に自然な出産を希望する者が多く、初・経産別でみると、経産婦のほうがより自然な出産を希望していることが明らかになった。出産の体験のある経産婦がより自然な出産を求めている理由に、我々援助者が施設の都合で出産を進めていることはないだろうか。加納は11)よいお産とは安全で自然な出産であり、生む側、介助する側の真の信頼関係が出発点であると述べている。また、中井ら12)は、分娩時の行動や思いなどの達成度が高いと分娩の満足は高くなると述べている。このことは、自然の分娩方法を望んでいる者が殆どであることをもっと重要視し、異常がない限り我々援助者はできるだけ自然な分娩になるように努力すべきであるといえる。

 

3. 仮説3:(分娩時の体位の希望はもっていないであろう)
出産時の希望体位があるかに対し、「はい」330名(16.8%)。「いいえ」1629名(83.2%)であり、80%以上が分娩時の体位について希望を持っていないことがわかった。
ラッセル13)は仰臥位より蹲居のほうが産道の断面積が30%拡大すると報告している。このことは我々に分娩時の体位についての示唆を与えているといえよう。産科処置や内診がしやすいという理由で産婦を仰臥位にしてベットへの拘東をしていないだろうか。一方、産婦は過去の出産の経験、母親学級(仰臥位で出産の練習をする)、雑誌などを通して、出産は仰臥位でするものだという固定概念があるのではないか。体位の希望が少ない結果に対し我々医療者はより安楽・安全で、産婦の満足感も得られるように、出産準備教育を行う必要があるのではないだろうか。病院(診療所、助産所)だからできないというのではなく、常にどういう体位が産婦にとって適切か考え、改善していく必要があると思われる。1996年のIndependent Midwives Organized Networkのニュースにフリースタイル出産と題してワークショップが行われた報告があったが、我々医療者は出産時の体位について機会を作って真剣に取り組むべきであろう。

 

4. 仮説4:(分娩時の処置は、現状を肯定するであろう)
多くの出産施設で日常的に行われている分娩時の処置、6項目において分娩監視装置の装着・内診・浣腸・剃毛が肯定された。「どちらともいえない」処置が会陰切開、やや否定的な処置が分娩促進であった。また、分娩時の処置に対し危険を伴う処置群をより肯定していることが明らかになった。また、学歴別では短・大卒のほうが各処置をより有意に肯定していた。
前回の分娩で処置を受けた群が受けなかった群より有意(P<0.01)に対応できる5項目(内診を除く)全てを肯定していた。さらに、会陰切開については、施設別では病院が、初・経産別では経産婦が有意に肯定していた。この理由として考えられることは、生命の危険から処置をしたのだろう、大病院だから必要ならば当然会陰切開をするであろう。と処置を素直に受けとめて肯定していることが推察された。妊婦は自分にとって良い結果を期待し、医療者が生命を救ってくれるのだから、必要だったらしても良い、信頼しているから任せているのではないか。
よって分娩時の処置は現状を肯定しているといえる。ここで分娩時の処置に対して宗像のいう「おまかせ」が示唆された。

 

5. 仮説5:(分娩時の過ごし方は、制限されないことを希望するであろう)
出産直前までの過ごし方で希望が多かった項目は、全体では、制限されないこと、自由な体位をとりたいことであった。佐藤悦ら14)の報告「分娩第1期の

 

 

 

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